民法改正の最大の変更点「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に。何が変わる

2020.04.13

2020年4月に120年ぶりの改正を迎えた「民法」。その中で最大のポイントといわれているのが「瑕疵担保責任」の廃止に伴い、新たに「契約不適合責任」がつくられたことです。この改正に伴い、不動産会社にはどのような対応が求められるのでしょうか。本記事では具体的なポイントと注意すべき点を交えて、ご紹介していきます。

最大の変更点「瑕疵担保責任が廃止」に

まず初めに、民法改正に伴って廃止された「瑕疵担保責任」について見ていきましょう。

2020年4月までの民法(以下、旧民法)では、商品に何らかの瑕疵(=キズ、欠陥、不適合など)が見られた場合には、原則として売り主にその責任を取ることが求められていました。そして、損害賠償という形での責任が果たされず、瑕疵によって契約を果たすことができない場合には、契約解除も可能とされていました。

瑕疵担保責任の難しさは、売り主の故意・過失を問わず責任を追及される点にあります。また、瑕疵の発生に関して「引き渡し後●●年」という期限もなかったことから、極めて厳しい法律であったといわれています。

そこで、2020年4月から施行される新民法では、「瑕疵担保責任」に変わり「契約不適合責任」が導入されることになりました。これにより、不動産の売買に携わる人や企業にとって大きな転換点となりそうです。

「不適合責任」になると何が変わる?

新たに民法に加えられた「不適合責任」とは、契約の内容に適合しない場合に売り主の責任が問われるものです。これはつまり、契約書の記載事項と実態が異なる場合には責任が発生し、逆に、記載のない事項であれば責任が問われないシンプルな構造を意味します。

一方で、瑕疵担保責任がなくなったことで買い主が不利になる恐れが生じます。そこで、新民法では売り主に求められる責任範囲や、買い主の対抗措置が拡大されました。具体的には、「①追完請求」「②代金減額請求」「③催告解除」「④無催告解除」「⑤損害賠償請求」ができるようになった形です。

契約に適合しない物件を引き渡された場合には、それぞれ次のような請求を可能としています。

①追完請求

買い主が売り主に対して、契約に適合する状態にするための補修等を請求するものです。追完の方法が複数考えられる場合には、「不相当な負担」でない限り、基本として買い主側でその方法を選ぶことが可能とされています。

②代金減額請求

当初契約で定めた売買代金の減額を求めるものです。順序としては、「相当の期間」を定めて追完することを売り主に催告し、その間に追完が行われない場合に、「不適合の程度に相応しい減額」を請求することが可能になります。

③催告解除

追完請求を行ったにも関わらず、売り主がそれに応じない場合に「契約解除」ができる権利です。当然ながら、売り主としては売買代金を返還する義務が生じます。

④無催告解除

上記の「催告解除」とは別で、契約不適合によって「契約の目的を達しないとき」に限っては無催告解除という権利も認められています。これは旧民法でいうところの「契約解除」の権利に該当するものといえます。

⑤損害賠償請求

新民法では新たに、買い主の損害賠償請求も認められるようになりました。例えば、買い主Aが売り主Bから物件Xした後、買い主Aはその物件をZに転売することが決まっていました。しかし、物件Xに重大な瑕疵が見つかり、転売ができなくなったとします。このようなケースでは、買い主Aが得られるはずだった転売利益は、売り主Bへの損害賠償の対象となり得ます。

では、これらの点を考慮すると、不動産会社にはどのような対応が求められるのでしょうか。

責任の範囲や重さなどは契約上で調整可能に

前述した「不適合責任」は任意規定であるため、契約上の調整が可能になります。例えば、一部の瑕疵担保責任を免除する代わりに、他のサービスを付加するといった交渉の発生も考えられるでしょう。

一見、柔軟な対応ができるように思えますが、その調整を怠った場合、売り主側に一定の責任が発生することになるため注意が必要です。つまり、売り主側としてはこれまで以上に細かな契約条件を調整する必要性がでてきます。

「契約不適合責任」で気を付けるべき点

新民法で新設された「不適合責任」は、売り主と買い主の契約行為を根本から変えるほど大きなインパクトを持ったものです。しかし、法改正が行われたばかりの段階では、起こり得るトラブルを過去の判例から類推することしかできません。つまり、明確な判断基準がない中で、いかにトラブルの予防策を事前に講じるかが重要になるわけです。

不動産の実務においては、物件の引き渡し後に思わぬ指摘をされないためにも、契約書の内容を「可能な限りわかりやすく、明確に」しておく必要があります。例えば、「不適合の程度に応じて減額請求を可能とする」といった内容であれば、算定基準はどう考えるべきか。「損害賠償の請求を可能とする」といった記載事項があるならば、その金額の基準はどう算定するか(上限金額は設けるか)といった具合です。

そして、実際の物件との不適合がないことを示す「確認票」は、設備や備品の漏れがないように詳しく記載し、ダブルチェックを行うようにしましょう。思わぬ記載漏れによって「債務の不履行」を追求され、代金減額や契約解除に至らないように、十分な注意が必要です。

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